2020年2月にJAL、3月にANAの直行便就航が決定しているロシア・ウラジオストク〜成田。エアアジアやロシアの航空会社S7も就航に意欲を示しており、今年は日本にとって「ウラジオストク元年」とも言える年です。
ウラジオストクの注目度上昇の理由は?
治安や気候やホテル事情は?
観光名所やグルメはどんな魅力があるの?
この記事では2016年夏と2019年春に訪問しているhitotema編集部スタッフが解説します。
まずは注目の理由、そして観光名所やグルメ案内、最後に実際に旅行するにあたっての基本情報という順序でご紹介していきますね。
すでにウラジオストク旅行を決めている方は、最後から読んでいただいても結構です。
目次
ウラジオストクが注目されている理由は?
ウラジオストクが急に注目されるようになったのは次の3つの条件が重なったためです。
2~3時間のフライトでヨーロッパへ行けること

ウラジオストクはロシアなのでエリアとしてはヨーロッパであるものの、場所は朝鮮半島のすぐ北東。東京から見ると、ソウルとあまり変わらない距離にあります。
台湾や香港のように気軽に行ける距離でありながらヨーロッパを旅できるため、近年は「日本から最も近いヨーロッパ」という表現で紹介されることが増えました。
ビザ緩和で行きやすくなったこと

それならもっと前から有名でもよかったようなものですが、2017年夏まではウラジオストク訪問にはビザが必要でした(※)。ビザ取得に手間と時間とお金がかかるほか、宿泊先も事前に申請し、滞在時に宿泊証明書をもらわないといけないといった厳しいルールがあったため、気軽に旅行できる場所ではなかったのです。
しかし、2017年夏に条件が緩和され、無料の電子ビザで渡航できるようになりました。ロシア全域ではなく一部地域に限ったものですが、その条件にウラジオストクが該当するため、注目されるようになったというわけです。
※海路で入国する72時間以内のツアーのみビザ不要という特別ルールはありましたが、条件に合う人が少なく、知名度も低かったので実際に利用する人はごくわずかでした。
情報が得やすくなったこと
ウラジオストクへ行く人が少なかったころは、ウラジオストクの情報はほとんどありませんでした。インターネットはもちろん、本も「ロシア」や「シベリア」という大きな括りのガイドブックしかなく、ウラジオストクの情報はごく一部だったのです。
しかしビザ緩和で渡航者が増えるにつれ、インターネット上に日本語の情報が増え始めました。ウラジオストクに特化したガイドブックも発売され、安心して行けるようになってきています。
ウラジオストクに関する本
地球の歩き方 Plat ウラジオストク(地球の歩き方編集室)
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はじめて旅するウラジオストク(矢巻美穂)
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日本から2時間半で行けるヨーロッパ ウラジオストクを旅する43の理由(中村正人)
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Maybe! Vol.5 はじめてのウラジオストク(小学館ムック)
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ウラジオストクの観光名所
ウラジオストクの魅力は、日本からすぐ近くでヨーロッパ気分を味わえること。 観光名所だけでなく、バレエやサーカス鑑賞もできますよ。
とはいえ、サンクトペテルブルクのように壮麗な教会や世界規模の美術館があるわけではないので、わりと地味な街であることは否定できません。
ウラジオストク駅


シベリア鉄道の終着駅(かつ始発駅)が、ウラジオストク駅。内部もとても美しいので、空路でアクセスした人も必見です。荷物検査のある入口もありますが、乗客しか入れないわけではありません。
ロシア正教の教会

写真のポクロフスキー教会(パクロフスキー教会)や駅に近いアンドレイ教会など、ロシア正教の教会があります。信仰の場なのでマナーは必要ですが、日本人からすると観光地と言えるでしょう。
鷲の巣展望台

ウラジオストクの景色を一望できる展望台です。がんばればウラジオストク駅周辺からも歩けますが、1時間くらいかかります。
アドミラーラ・フォーキナ通り(噴水通り)

美しい噴水のある、カフェやショップが立ち並ぶ通りです。ヨーロッパ気分で散策するならここ、という場所です。このほかにもグム百貨店周辺などが観光客に人気です。
ルースキー島& 沿海州水族館

ウラジオストク市内から車で30~40分くらいの場所にある、ルースキー島。島のリゾート開発の一環として2016年に誕生した貝殻型の水族館「プリモルスキー水族館(沿海州水族館)」は、ロシア最大級の水族館です。
公式サイト(英語): http://primocean.ru/en/
マリインスキー沿海州劇場(バレエ鑑賞)
ロシアといえば、バレエ。マリインスキー沿海州劇場は、ウラジオストク駅から車で10分ほどの場所です。チケット代金は公演や席によって幅広く、150~3,000RUB(約300~4,000円)ほど。
日本語版の公式サイトがあるので公演情報はわかりやすいですが、チケット購入は英語です。
公式サイト(日本語): https://prim.mariinsky.ru/jp/
ウラジオストク国立サーカス
ロシアといえば、サーカスも。ウラジオストクにある国立サーカス劇場は2017年に改装されたため新しく、ウラジオストク中心部から車で10分弱です。公演内容や座席によっても値段は変わりますが、おおよそ500~2,000RUB(約1,000~4,000円)。
公式サイトはロシア語のみなので個人でのオンライン予約は難しそうですが、サイトを日本語翻訳すれば詳しいアクセスや注意事項はわかります。
公式サイト(ロシア語): https://www.circus-vladivostok.ru/
グラスビーチ

かつて近くにあったゴミ処理場の瓶が破片になった……というグラスビーチ(ガラスビーチ)。ルースキー島とは方向が違いますが、こちらも市内から車で30~40分の場所にあります。
破片を持ち帰る人が増えて景観が損なわれることが問題になっているようなので、眺めて楽しみましょう。
ウラジオストクのグルメ
観光名所に続いて、お楽しみのグルメ案内にまいりましょう!
定番のロシア料理は、ウラジオストクでもたっぷり楽しめます。
タラバガニやイクラ

タラバガニやイクラなど、海産物が安いのが魅力です。キッチン付きの宿に泊まれば、スーパーでカニやイクラを買って調理する楽しみもあります。
但し、イクラはロシア語では「魚卵」。鮭のイクラだと思って買ったらタラコの缶詰だったとか、安いと思ったら人工イクラだったとか、そういういうこともあるのでお気をつけて。
また、鮭のイクラはレッドキャビアと英訳されますが、単にキャビアと書かれていることもあります。チョウザメのキャビアが安いと思ったらイクラ、ということもありますよ!
ボルシチ

もっとも有名なロシア料理ともいえるボルシチ。ビーツで色付けした鮮やかなスープです。サワークリームを入れるのがロシア流。
ピロシキ

ピロシキも有名ですが、ロシアではお総菜パンの一種。揚げたてアツアツをいただける専門店がある、という感じではありません。カフェのショーケースにあったりします。
ベリメニ

ベリメニは、水餃子のような食べ物。具はお肉だけでなく、ロシアらしくサーモンのこともあります。サーモンといえば、スーパーのスモークサーモンも安くて美味しいですよ(スモークサーモンだと思ったら加熱用の切り身だった、ということもあるので注意)。
ビーフストロガノフ

ウラジオストクのビーフストロガノフはホワイトシチューのような色。ウクライナ風と言われるタイプです。
ブリヌイ

ブリヌイとは、ロシア風クレープのこと。強力粉が入っていて、少しもっちりとしています。定番のハムやチーズ、アイスクリームも美味しいですが、ウラジオストクではぜひイクラを!
セリョートカ

ニシンのことで、酢漬け・塩漬け・オイル漬けなどがあります。

セリョートカはそのままでも食べられますが、ジャガイモやビーツと合わせたカラフルな「セリョートカ・パド・シューボイ(毛皮を着たニシン)」も有名です。
クラフトビール

ロシアのお酒といえばウォッカですが、近年はビールの人気が高まっているそう。クラフトビールも安くて美味しく、中ジョッキサイズで70~100RUB程度です。
ウラジオストクのお土産

ウラジオストクのお土産といえば、やっぱりマトリョーシカ。市内を散歩しているとお土産店がありますし、駅の裏手にあるフェリーターミナルにもお土産店が入っています。

オモシロ系がお好きな方には、ロシアの偉人のマトリョーシカもおすすめです。

ウォッカ、ビール、イクラなどもロシアらしいお土産です。ロシア語が読めないと写真のような人工イクラを買ってしまうこともあるのですが、それもまた旅のネタです。

定番のチョコレート菓子ももちろんあります。パッケージがかわいらしいチョコレートは、スーパーでのまとめ買いがおすすめです。
ウラジオストクの基本情報

さてここからは、本気でウラジオストク行きを考えている方向けの情報です。気候や交通事情、治安などを丁寧に紹介していきますね。
ウラジオストクへのアクセス
ウラジオストク旅行はほとんどの方が空路でのアクセスになるでしょう。2020年2月1日現在で直行便があるのは、成田・関空・新千歳、その他は乗継便となります。
なお、海路は鳥取・境港からの週1便(DBSフェリー)あり、ウラジオストクまで片道2泊かかります。
JAL・ANAのマイルもお得!
カテゴリとしてはヨーロッパになるウラジオストクですが、ANAはソウルと同じ区分で東京なら12,000マイル~、JALはソウルよりも少ない片道7,000が基本マイルとなっています。
国際線の特典航空券はサーチャージがかかるものの、使い道が決まっていないマイルがあるならウラジオストクという選択肢もアリですね。
JALマイレージバンク: https://www.jal.co.jp/jmb/
ANAマイレージクラブ: https://www.ana.co.jp/ja/jp/amc/
言語
言語はもちろん、ロシア語。日本語はほとんど通じず、飲食店のスタッフがまったく英語を話せないこともあります(ワン・ツー・スリーも通じない)。
しかしビザ緩和以降、日本語メニューを用意するお店も増えました。ガイドブックに収録されている基本文例の指さしやGoogle翻訳を使えば、それほど困ることはないでしょう。
通貨
通貨はルーブル(RUB)で、1RUB=約1.8円。※2020年2月現在
空港や市内の両替所や銀行、ATMで両替できるので、日本からルーブルを用意していく必要はありません。クレジットカードもわりと使えます。
気候
基本的には日本と同じですが、日本より少し冷涼。北海道くらいのイメージです。避暑といえるほど涼しい日ばかりではありませんが、夏は観光に最適なシーズンです。
一方、氷点下になる冬も、シベリアの寒さを体験できるとして人気です。
治安
スリや強盗が多い、紛争地域が近いといった意味での治安の悪さはありません。
しかし、首都モスクワなどで大規模テロが起きたこともあるため、外務省は紛争地域以外でもロシア全域に警戒レベル1の「十分注意してください」を発令しています。
海外安全ホームページ(ロシア): https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_178.html
ホテル事情
日本より安く、1室1万円台で駅に近い広めの部屋に泊まることができます。
JTB などのツアー旅行では、駅から少し離れたロッテホテルになることが多いようですが、駅近くのジェムチュジナ ホテルも人気です。
→ロッテホテル (Booking.com)
→ジェムチュジナ ホテル (Booking.com)

アパートメントタイプのAirbnb(民泊)も多く、グループ旅行や子連れ旅行、リゾート滞在に便利です。駅近や海側に人気の宿がいくつあります。
JALやANAの成田直行便が就航し、ますます注目度が上がることが予想されるウラジオストク。観光やグルメ、基本の旅行情報はこちらにまとめましたが、この記事ではhitotema編集部イチオシのAirbnb(民泊)宿をご紹介します。グループ旅行[…]
交通事情
空港〜ウラジオストク市内は列車もありますが、市内移動はバスかタクシーです。
とはいえバスは古く、案内もロシア語なので旅慣れていないと難しいでしょう。
また、タクシーも割高な料金を請求されるケースが多く、あまり優良ではないと言われています。
徒歩では行きづらい観光名所も多いので、配車アプリを利用しましょう。
おすすめのアプリ
ウラジオストク在住のAirbnbオーナーが推奨してくれた配車アプリは、maxim。また、Googleマップは正しくないことが多いので、地図アプリのYandex.Maps and Transportやmaps.meあたりも入れておくと安心です。
maxim
App Store
Google Play
Yandex.Maps and Transport
App Store
Google Play
maps.me
App Store
Google Play
電子ビザ申請について
電子ビザでウラジオストク旅行するための条件を簡潔にまとめると、「ウラジオストクの港か空港での入出国。沿海地方のみ・8日間以内滞在」です。飛行機やシベリア鉄道を乗り継いで他都市へ行く場合は、いままで通りビザが必要です。
電子ビザは個人で申請可能
電子ビザは以下のサイトから渡航の4~20日前まで申請できます。手数料は無料、休日関係なく4日以内に発給されます。
訪問地域は「Primorsky Krai」を選び、出生地はパスポートの本籍地でOKです。写真がピンぼけでエラーになる場合は、コントラストを上げて加工してみてください。
日本語の電子ビザページ
http://electronic-visa.kdmid.ru/home_jp.html
日本語の申請ページ(2020年2月現在、接続エラーになります)
https://evisa.kdmid.ru/ja-JP
英語の申請ページ
https://evisa.kdmid.ru/en-US
ウラジオストクはつまらない?

ウラジオストクで検索すると「ウラジオストク つまらない」という予測語が出てくるので、ちょっと心配になりますよね。
ビザ緩和前に比べると店も料理も洗練され、街の雰囲気も明るくなっているものの、パリやロンドンのような大観光都市ではありません。観光に対してアクティブな方ならたしかに「何もない」という感想になるかもしれません。
でも、
異国情緒のある知らない街を歩いているだけで楽しい!
ホテルでのんびりするのが好き!
旅の楽しみはその土地ならではのお料理!
そんな旅スタイルの人なら、のんびり楽しめると思います。
今年はお得なツアーやキャンペーンが登場するはずですから、より気軽に行けるチャンスですよ。
